
〜マーケティングリサーチとは〜
マーケティングリサーチとは、企業が自社で抱えるマーケティング課題に対して、顧客の声や実情を起点に、最適な打ち手をうつ為に必要となる、調査・分析のことです。
一般的に企業はマーケティング課題として、以下のようなさまざまな論点をもっている場合が多いです。
- 自社の商品やサービスの顧客満足度はどうなのか
- 自社の商品やサービスは、競合と比較して、顧客にどのような点が評価されているのか、または評価されていないのか
- 顧客は商品やサービスを購入する際に、何をもとに判断し購入しているのか
- 自社の店舗での接客は、顧客にどのように思われているのか
- 顧客へのタッチポイントとして、どのチャネルが最適なのか
マーケティングリサーチは、これらの企業が抱える様々な事業・マーケティング課題を解く為に必要なアプローチとなります。

〜基本的なフローと考え方について〜
では次に、マーケティングリサーチの基本的なフローと考え方についてみていきましょう。フローについては以下のような流れとなります。
マーケティングリサーチの基本フロー
1.論点・課題の整理
2.仮説をもとに、調査項目・結果を想定
3.調査票作成・実査
4.分析・示唆出し
1.論点・課題の整理
まずは、今回の「リサーチの目的は何なのか」を強く意識する為に、企業が抱えている解決したいマーケティング課題を特定していきます。マーケティン課題を特定する方法としては、例えば、ビジネスプロセスごとに課題を整理したり、またビジネスを構成する要素ごとに分解して課題を抽出したりします。これらのステップを経て、マーケティング課題を特定した後は、今回のリサーチにより解決したい課題を決めていきます。また、この際の解決したい課題の決め方としては、企業内での想定される課題の大きさや、重要度などに応じて、優先順位をつけていく必要があります。
2.仮説をもとに、調査項目・結果を想定
1.論点・課題の整理で、解きたい課題を決めると、次にその課題を解決する為の仮説を構築していきます。ここでの仮説の精度により、調査する項目や内容、導出される調査結果などが大きく異なってきますので、マーケティングリサーチにおいて、この仮説構築がかなり重要なフローとなります。
では、仮説構築はどのように行うのか、また構築した仮説を証明する為には、どのような調査項目を設定し、どのようなファクト(結果)を抑えたらよいのかについて、以下でみていきましょう。
仮説構築を行う為には、まず自社の事業を構造的に理解する為に、ビジネスプロセスごとに課題を整理したり、ビジネスを構成する要素ごとに分解して課題を抽出したりしていきます。その中で想定された課題に対して、課題の大きさや重要度などに応じて、優先度をつけて、今回のリサーチで解くべき課題を明確にします。その後、その課題を解く為には、どのような施策が必要なのかについて、検討していきます。施策案としては想定できる要素ごとに複数用意して、その中で筋の良い仮説はどれなのか、またわからない場合はどこまで調査して明らかにすべきかなどを決めていきます。明らかにしたい項目が決まれば、それを証明する為の調査項目を設定します。この項目については具体的な事例により異なる為、一概にこれというものはないですが、考え方としては、調査によって明らかにしたいことを、調査によって導き出された調査結果(ファクト)が論理的に支えている構造ができるのが理想です。その調査結果を作る為に、必要な項目を調査項目として作成します。
3.調査票作成・実査
調査項目が決まったら、調査票を作成します。ここでは、どのような問い方で設問を作るか、また回答の選択肢はどのようにするのか、設問はどのような順番で、合計で何問にするのかなどを、検討した上で調査票に落とし込んでいきます。調査票が作成完了すると、対象パネル(調査対象者)を設定し、実査を行なっていきます。
4.分析・示唆出し
ここでは、始めに設定した、リサーチの目的を達成する為に、実施した調査結果を分析していきます。マーケティングリサーチの目的が、「企業が自社で抱えるマーケティング課題に対して、顧客の声や実情を起点に、最適な打ち手をうつ為に必要となる、調査・分析」であることから、分析手法やそこから導出される示唆としても、よりアウトプットに繋げられるという視点で、行なっていくことがポイントになります。

〜マーケティングリサーチ方法〜
定量調査
・インターネット調査
対象パネル(調査対象者)に対して、インターネット上でアンケートに回答して頂く調査方法です。短期間・低コストで実施可能な為、企業のリサーチ手法としてよく活用されます。
・郵送調査
対象パネル(調査対象者)に対して、調査票を郵送で送り、記入後に返送して頂く調査方法です。郵送費としてコストがかかるデメリットはありますが、インターネット調査では実施できないような高齢層などから、意見を得られるという点でメリットもあり、活用されています。
・会場調査
特定の会場などに対象パネル(調査対象者)を集めて、実施する調査方法です。企業にとって、コントロールしやすい環境下で、調査を実施できるというメリットがあります。
・ホームユース調査
対象パネル(調査対象者)に対して、企業が特定の商品やサービスなどのサンプルを送り、一定期間かけて試用して頂く方法です。試用後は、アンケートなどで、感想や評価を頂き、消費者のリアルな声を得られるというメリットがあります。
定性調査
・デプスインタビュー(個別調査)
調査対象者に対して、個別でインタビューを行い、より深いところまで、ヒアリングしていく調査方法です。定量調査とは異なり、一度に取得できる回答数は少ないですが、より深い声を知ることが可能となります。
・グループインタビュー
調査対象者を複数人集めて、座談会形式でインタビューを行う調査方法です。複数人の調査対象者が集まることで、アイディアが膨らんだり、より深い議論を行うことも可能となります。

最後に・・
今回は、マーケティングリサーチのフローや基本的な考え方、方法などについて、記載させて頂きました。
ものが溢れる時代において、企業はマーケティングリサーチにより、顧客の声を明らかにし、それらに基づいた、商品開発やプロモーション手法などを積極的に取り入れていくことで、より時代の変化に適応した、事業変革が可能となります。これらを意識して、顧客の声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
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